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プロジェクトストーリー

日本ピラー工業の製品を、
アフリカへ、そして世界へ、
広げていくために。

01
[アフリカでのチャレンジ]

PROJECT MEMBER

東京支店 プラント・SAグループ(当時) 井口 寛章 IGUCHI HIROAKI 工学部化学工学科卒 2008年入社
MS技術グループ 中嶋 徹 NAKASHIMA TORU 工学部機械工学科卒 2009年入社
海外事業部 営業1グループ 下井 章史 SHIMOI AKIFUMI 商学部商学科卒 2015年入社

アフリカでの石油精製プラントの開発に、
日本ピラー工業が携わるためのプロジェクトが始動。

グローバル市場のさらなる開拓をめざす日本ピラー工業は今、東南アジアや中東、アフリカといった新興国への展開も積極的に推進している。このプロジェクトもその一つ。2016年、アフリカの大手石油会社が新たな石油精製プラントの開発に取り組むことを決定。その情報を得た日本ピラー工業は、ポンプ向けメカニカルシールの受注と開発・生産をめざすべく大型プロジェクトをスタートさせた。

まず井口は、情報収集と各所との関係構築に動き出した。今回のプロジェクトを商流で見ると、アフリカの石油会社とメカニカルシールメーカーである日本ピラー工業との間に、プラントの設計・建設を担うエンジニアリングメーカーと直接のお客さまになるポンプメーカーが位置している。井口はそれぞれのメーカーから石油会社が求めていることを細やかに汲み取るとともに、日本ピラー工業の技術や実績をアピールしていった。

その中で井口の参謀役となったのが、メカニカルシール開発担当の中嶋である。中嶋と井口は、これまでにもタッグを組んでさまざまなプロジェクトを成し遂げてきた。「井口さんとは信頼関係を築いているので、連携の部分ではまったく問題はありませんでした」と中嶋は笑みを見せる。そして、「石油精製プラントでは海外メーカーのメカニカルシールが数多く採用されています。その中で私たちのメカニカルシールが導入されたら海外での揺るぎない実績となり、開発者として大きな自信にもなります。だからこそ、モチベーションを高くして臨みました」と当時の気持ちを振り返った。

スピーディーに、前向きに、粘り強く。
この対応力が受注への原動力となる。

プロジェクトが本格的に動き始めたのは、石油会社がつくったスペックと呼ばれる仕様書が届いてから。ここに記された性能や基準に応えられないと、そもそも受注することはできない。「だからこそスペックを正確に読み込むことが一番重要」と井口は語る。今回のプラント開発には約1,000枚もの膨大なスペックがあり、その中から自分たちの業務範囲となるスペックをピックアップしメンバー全員で読み込んだ。「本当に大変でしたが、スペックを読み解くことで初めて井口さんは見積もりをつくれるし、私は技術面での検証ができます。この作業が受注への大切な一歩となるのです」と中嶋も続けて言った。

だが、スペックの読み込みだけで受注までのゴールが見えるわけではない。エンジニアリングメーカーやポンプメーカーから「メカニカルシールをこういう仕様に変更できないか」「この基準をどうクリアしたらいいか」など、多くの問い合わせが発生する。その一つひとつに「スピーディーかつ前向きに応えていく中で、ゴールが徐々に見えてくる」と井口は語る。それに同意した中嶋は「仮に対応できそうにない場合はその理由を示して、かつ代替案も提示するようにしました。そうした対応力を石油会社も各メーカーも見ていて、パートナーとしてふさわしいメカニカルシールメーカーであるかを判断します」と述べた。

また、日本では想定しない条件にも対応力を求められたという。今回のプラントを設置するアフリカの内陸部では水が非常に貴重なため、メカニカルシール用の洗浄水を確保できない。「この条件ではトラブルが発生することが目に見えていたので、粘り強くその旨を説明しました。その結果、こちらの要望の半分であれば洗浄水を確保してもらえることになりました。それでも従来のメカニカルシールの構造では洗浄水が足りなかったので、より洗浄しやすい構造へとブラッシュアップすることを伝えて乗り切りましたね」と中嶋は振り返る。

スピーディーに、前向きに、粘り強く。こうした対応を繰り返すことで信頼を獲得していった結果、2018年、日本ピラー工業はメカニカルシールの開発・生産を担当することに決定。井口と中嶋は受注というゴールに辿りつくことができたのである。

受注後はヨーロッパ時間で対応。
製品化も効率的に取り組んでいく。

受注して一安心したのも束の間、すぐに新たなミッションが目の前に現れた。それは実際にポンプ向けメカニカルシールを開発・生産すること。このフェイズからは、直接のお客さまであるポンプメーカーとの細かなやり取りが必要となってくる。その窓口となったのが、海外事業部に所属するポンプメーカー営業の下井である。「入社2年目で担当することになった大型プロジェクトだったので、正直、不安が大きかったです。でも、井口さんには営業面を、中嶋さんには技術面をサポートしてもらいながら前に進んでいきました」と振り返る。

下井がお客さまとやり取りするうえで大切にしていたのは、時差を考慮したコミュニケーションである。「ヨーロッパのポンプメーカーがお客さまだったので、時差は約8時間。日本が終業近くの18時なら、ヨーロッパではオンタイムがはじまったばかりの10時です。できる限りヨーロッパ時間を想定して、メールや電話に対応するようにしましたね」と語る。こうした下井の仕事ぶりに井口は「本当に丁寧で素早い対応力を発揮してくれました。わからないこともすぐに確認して、すぐに身につけてくれるので頼もしさがどんどんと増していきましたね。あと、私とは違い英語でコミュニケーションできるのがすごい(笑)」と嬉しそうに話した。

一方で中嶋は受注製品の図面を作成し、製品化していく作業を進めた。「今回は大規模な案件だったので、10種のメカニカルシールと10台の付属機器を納品する必要がありました。部内のメンバーに振り分けながら、迅速かつ柔軟に取り組むことを心掛けましたね」と中嶋。水の少ないアフリカ対策用として受注前の段階で提案していた、より洗浄がしやすいメカニカルシールも無事に完成。想定していなかった条件に立ち向かえば、必ず新しいアイデアや技術が生まれる。そのことを中嶋は改めて実感したという。

受注した製品をすべて納品。
すぐに、新しいチャレンジへ動きだす。

そして2018年10月、受注した製品をすべて納品。メンバー全員が安心と嬉しさを感じたという。アフリカの石油精製プラント開発に携わるという今回の大型プロジェクト。その成功の鍵になったのは「チームワーク」と3人全員がまず同じ言葉を挙げた。プラント営業の井口が受注までの牽引役となり、ポンプメーカー営業の下井が受注後のプロジェクトをスムーズに推進し、そして、開発担当の中嶋が技術面で力を発揮する。「それぞれが自分の役割を全うし、お互いにしっかりとサポートしあうことができました。あと、検査や生産などの現場とも柔軟に連携でき、まさにチームピラーとなって動けたのがこのプロジェクトを成し遂げた一番の要因だと思います」と中嶋は語る。

そして、井口はもう一つの要因を引き締まった表情で話した。「先輩たちが積み重ねてきた実績です。それがあったからこそ、アフリカの石油会社、エンジニアリングメーカー、ポンプメーカーから信頼を獲得できたと実感しています。今回、私たちも一つ積み重ねることができたのは大きな自信になりましたね」。

約1年半以上続いた3人のチャレンジ。しかし、ここで終わりではなく、ここをはじまりとして次に向かって動き出している。「納品した製品が正常に動いているかをチェックし、万が一トラブルが発生した場合は迅速に対応すること。それは当たり前として動いていますが、予備品を確実に受注できるよう、お客さまとの関係をさらに強化していきたいですね」と下井は語る。井口は「この実績を足がかりに、アフリカだけではなく世界のプラント案件を開拓していきたいですね」とこれからを見据える。中嶋は続けて、「私たちの製品によってプラントが安全かつ省エネルギーで稼働すれば、その地域の人々だけではなく、回りまわって私たち自身の暮らしも豊かになると思っています。だからこそ、開発者としてより良い製品をつくっていきたいですね」と抱負を述べた。

日本ピラー工業が推し進めるグローバル市場の開拓。それは今回のプロジェクトのように社員一人ひとりの責任感と確固たる意志によって、今日も着実に広がっている。

次世代ポンプの開発 新材料への挑戦

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