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プロジェクトストーリー

まったく新しいアイデアで、
半導体と日本ピラー工業の
未来を切り拓く。

02 [次世代ポンプの開発]

PROJECT MEMBER

Nippon Pillar Corporation of America/日本ピラーアメリカ支社 中野 篤 NAKANO ATSUSHI 工学部材料工学科卒 2005年入社
福知山技術部技術グループ 山崎 健司 YAMAZAKI KENJI 海事科学部マリンエンジニアリング学科卒 2010年入社
福知山技術部開発1グループ 白石 紗季 SHIRAISHI SAKI 工学部材料学科卒 2017年入社

半導体洗浄のイノベーションを加速させる、
次世代ポンプを開発するために。

スマートフォンやタブレット、自動車などに搭載され、交通や通信などの社会インフラも支える半導体。私たちの暮らしをもっと良くするべく、より小さく、より軽く、より高性能に進化し続けている。同時に、その半導体を製造する設備には技術革新が常に求められている。日本ピラー工業が供給してきた洗浄装置用のポンプもその一つ。当時、従来の性能ではお客さまが要求する洗浄度のレベルに応えられなくなってきたという。そこで2014年、次世代ポンプを開発するというプロジェクトが立ち上がった。

このプロジェクトのリーダーに選ばれた中野は、スタート時の思いをこう語る。「今までとはまったく違う発想やアプローチでつくる必要があること。それが今回のプロジェクトの出発点であり、最大の課題でした。もちろん不安な部分もありましたが、成功すれば日本ピラー工業の未来を切り拓くことは間違いなかったので、絶対にやり遂げようという強い気持ちで臨みました」。

まず中野は、次世代ポンプを実現させるアイデアを練りはじめた。その中で小型化する半導体を洗浄するためには、2つの新しい性能が必要になると考えたという。それが「高出力」と「低脈動」である。「小型化・高性能化を目指し微細化が進む半導体製造プロセスにおいて、従来よりも目が細かいフィルターに薬液をしっかりと送り出すには「高出力」が欠かせません。でも、出力が高いだけだとフィルター自体にダメージを与える可能性があるので、出力を微細に調整するための「低脈動」もセットで実現する必要がありました」。

しかし、当時の日本ピラー工業にはさらなる微細化に対応させるノウハウもなく、実現へのルートは中野にも見えていなかったという。その道なき道をともに歩んだメンバーが開発現場の責任者である山崎と、彼のサポート役である白石だった。山崎は「本当に難易度の高いチャレンジになると感じていました。ただ、これからの半導体洗浄の最先端を担うんだ!という思いが大きなモチベーションになりました」と振り返る。白石は「プロジェクトに参加したのは入社間もない頃だったので、開発の手順もわからないことばかりでした。でも、目の前の業務を一つひとつクリアすることに集中し、自分ができる最大限のサポートをしようと考えていました」とそのときの気持ちを語った。

数々のトライ&エラーを繰り返し、
チームの力で乗り越えていく。

次世代ポンプに欠かせない性能として中野が掲げた「高出力」と「低脈動」。その実現に向けて、メンバーは数えきれないほどのトライ&エラーを繰り返した。特に難しかったのは「低脈動」だったという。「最初は簡易なポンプをつくり、動作の確認を手動で何度も試しました。成功だと思って動かしてみても失敗に終わってしまい、なかなか前に進みませんでしたね」と中野が振り返る。

手動で理想の「低脈動」の動きを実現できたのは、プロジェクト開始から1年半が経ったとき。メンバーは嬉しい気持ちを抱きながらも、すぐに次のステップへと進んだ。「今度は動きの自動化が課題になりました。さらにハードルが上がりましたね」と山崎が言うと、「そのときのトライ&エラーの回数は、数えたくないほどです(笑)」と白石も続けた。

こうした困難にあたることを想定していた中野は、「どう乗り越えるかはチーム力の見せ所」と思っていた。だからこそ、「経験に関わらずメンバー全員が意見やアイデアを積極的に発信できる。そんなチームでありたい」と常に意識していたという。白石は「中野リーダーから『先輩だからって遠慮せずにどんどんと発言してほしい』と言われたことで、責任感も持てたし、仕事もしやすくなりました」と笑みを見せる。山崎は「白石をはじめとした開発現場のメンバーからは、いつもいろんな意見が出てきました。僕は現場の責任者としてその意見をまとめて、中野リーダーと何度も議論しあいました。ときにはぶつかりあうこともありましたね(笑)」と振り返る。

こうしたチーム力を発揮できたからこそ、新しいアイデアが生まれ、数々のトライ&エラーを乗り越えることができたという。そして、ようやく「低脈動」の自動化に成功し、チームは次世代ポンプの試作品を完成させる。

お客さまの想いに応える過程で、
イノベーションの種が見つかる。

「高出力」と「低脈動」を実現することも大きなミッションだったが、それ以上に重要だったのはお客さまが求めるニーズに応えることだった。次世代ポンプの試作品が完成してからは、お客さまのもとを繰り返し訪れたという。「自分が納得できる製品ができたとしても、お客さまに納得いただけないと価値はありません。だからこそ、お客さまに直接ヒアリングすることは本当に大切です。与えられた要望を解決しているかを入念に確認し、改善点を洗い出す。そうした場を月一ぐらいのペースで設けて、試作品をブラッシュアップしていきました」と中野が述べた。

同時に、お客さまから「もっとこうしたい」「こういう機能もほしい」など、新たな要望も次々に出てきた。ヒアリングの直後は、「今回の要望をどうやってクリアしよう」と全員で頭を抱えることもあったという。ただ、「そうしたお客さまの“もっと”という想いに応えるのが自分たちの使命」と山崎は言い切る。白石は続けて、「一方で納期を守ることも大切だったので、自分で考え抜いてもわからないことがあれば、すぐに山崎さんにアドバイスをもらうよう心がけました」と語った。

そうした要望に一つひとつ対応していく中で、新しいアイデアが生まれることが数多くあったという。例えば、「洗浄工程で使う薬液を変更したい」という要望を受けたとき。当時を中野は振り返る。「その要望に応えるには今まで提案してきた構造や素材を大幅に変える必要があり、予算もオーバーしてしまう。でも、諦めずにさまざまなアプローチを試しみると、最初の提案時は想定もしていなかったセンサーをつけるという方法で解決でき、一気に製品化まで進みました。そういうイノベーションの種は、お客さまとのやり取りの中にあることを改めて実感できましたね」。

次世代ポンプが完成し、
それぞれの新しい挑戦へ。

今までとはまったく違うアイデアと、お客さまの課題解決を追求しつづけた日々。そして2018年1月、ついに「次世代ポンプ」が完成した。現在は、お客さまの洗浄装置に搭載しテスト運転を重ねている。「安心はしましたが、一つの大きな壁を乗り越えただけというのが正直な実感です。お客さまが実際に使用する中で、今まで見えていなかった課題が出てくると想定しています」と中野は言う。その発言を受けて、山崎と白石は「その一つひとつに丁寧かつ迅速に対応していきたい」と同じ想いを口にした。

今回のプロジェクトを経験したことで、メンバー一人ひとりは大きく成長したという。山崎は「僕自身、中野リーダーと現場の橋渡し役を経験したことで、マネジメント力を磨けました」と語れば、白石は「知識もスキルも、さまざまな面でレベルアップできたと思っています。あと、チーム一丸となって取り組むことの大切も実感できました」とチームワークの重要性も改めて述べた。そのことに中野も同意する。「今回のプロジェクトは動作方法やコストダウンに対応させるため新しいアイデアが求められていたので、自分一人では絶対に成し遂げられなかったですね。チームだからアイデアの幅が広がり、いろんな局面で柔軟に対応できました。お客さまにもこのチームの一員という想いを持って臨んだことで、密にコミュニケーションができたと思います」。

そして最後に3人は、新しいチャレンジに向けた想いを述べた。中野は「次世代ポンプという新たな技術を半導体業界に提示できたことは、日本ピラー工業の大きな前進になりました。これからも半導体が進化していく中で、日本ピラー工業がますます頼られる存在になれるよう一歩先を見据えた開発に取り組みたいですね」と抱負を語る。山崎は「半導体は、いつも使っているスマートフォンやIoTデバイスに欠かせないもの。だからこそ、日本ピラー工業の技術でもっと社会をより良くしていくという気持ちを持って、いつかはリーダーとして一つのプロジェクトを牽引していきたいですね」とまっすぐ先を見据えた。そして、白石も「まだまだ先輩方から学ぶことばかりですが、より良い製品を生み出せるよう日々挑戦を重ねていきます」と語った。

次世代ポンプの開発を成し遂げた3人の確かな経験と強い想い。それは半導体業界の、そして日本ピラー工業の未来を切り拓いていくに違いない。

アフリカでの
チャレンジ
新材料への挑戦

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